鹿島アントラーズの柴崎岳選手は、2016年12月に日本で行われたクラブワールドカップ決勝で、レアル・マドリードを相手に2得点をあげ、世界中から多くの賞賛の声が上がりました。
もともと実力のある選手ですが、決勝での2得点で海外からの評価が一気に高まっています。
柴崎岳選手は、以前から海外でのプレーを望んでいましたが、スペイン2部テネリフェへの移籍が決まりました。
スペインリーグでの活躍の可能性や不安な点について検証してみました。
また、柴崎岳選手のサッカー経歴、性格および魅力についても紹介したいと思います。
柴崎岳の経歴
名前:柴崎 岳(しばさき がく)
生年月日:1992年5月28日
出身地:青森県
身長:175cm
体重:64kg
所属チーム:鹿島アントラーズ
ポジション:MF
柴崎岳選手がサッカーをやるきっかけは、小学校1年のときに2人の兄が所属していた地元のフットサルチーム野辺地SSSの練習に、参加したことでした。
そのときに小学3年、4年チームに飛び入りで参加していきなり大量得点を取りました。
それ以来柴崎岳選手はサッカーの面白さに惹かれて野辺地SSSに本格的に参加することになりました。
柴崎岳選手が小学6年のとき野辺地SSSは、青森県サッカー大会で優勝、そして全日本少年フットサル大会(バーモントカップ)の県代表として初めての全国大会に出場しています。
その中心となった柴崎岳選手は青森県では誰もが知る存在となりました。
こうした柴崎岳選手の活躍に注目していた人物がいました。
青森山田高校をサッカーの強豪校に育てあげ、2017年第95回全国サッカー選手権大会で優勝に導いた黒田剛監督です。
当時黒田監督は付属中である青森山田中学校の強化に携わっていたため、柴崎岳選手の類まれな才能に惚れ込み青森山田中学校に勧誘しました。
親元を離れることもあり両親は最初反対していましたが、柴崎岳選手の決意の強さ熱心さを尊重して、最終的には快く賛成したそうです。
青森山田中学校に進学してからは、順調に実力をつけて中学2年のときには、すでにチームの中心として活躍。
全国中学校サッカー大会で3位という好成績をあげています。
中学3年になってからは飛び級で青森山田高校のチームに参加して、すぐにレギュラーとして活躍しています。
また、U−15日本代表にも選出されるなど全国に知れ渡る選手に成長しました。
青森山田高校に進学後は、1年生からエースナンバーである背番号10番を背負いました。
2年生のときには第88回全国高等学校サッカー選手権大会で準優勝の成績を収めています。
このときのメンバーには、リオデジャネイロ五輪日本代表GKに選出された櫛引政敏選手なども入っていました。
その大会後、柴崎岳選手は鹿島アントラーズと仮契約を結んでいますが、これは異例なことで鹿島アントラーズが柴崎岳選手の実力をいかに高く評価していたかの表れで、絶対に獲得したいと思ったんでしょうね。
柴崎岳選手は、高校卒業後の2011年に鹿島アントラーズに入団しています。
初年度からリーグ戦では13試合、ナビスコカップ準決勝で公式戦得点を上げて勝利に貢献しています。
2012年からはレギュラーに定着してナビスコカップ決勝の清水戦で2得点をあげ最優秀選手に、またベストヤングプレーヤー賞も受賞しています。
2014年にはJリーグベストイレブンに選出されています。
2016年からは、エースナンバーの背番号10を本山 雅志選手から譲り受けました。
鹿島アントラーズのナンバーテンは、ジーコ、レオナルド、ビスマルク、本山 雅志というそうそうたる選手が付けていた背番号です。
柴崎岳選手が名実ともに鹿島アントラーズの中心選手として認められた証明でもありますね。
日本代表では
2009年 FIFA U-17ワールドカップ出場
2012年 キリンチャレンジカップ・アイスランド戦 日本代表(A代表)メンバーに初選出される
2013年 東アジアカップ 日本代表メンバーに選出される
2014年 キリンチャレンジカップ 日本代表メンバーに選出される。ベネズエラ戦で日本代表初出場し代表での初得点をあげる。
2015年 AFCアジアカップ2015 日本代表のメンバーに選出される。準々決勝のUAE戦で同点弾となる得点をあげる。
以降日本代表に選出されていないが、ハリルホジッチ監督も柴崎岳選手の能力は高く評価しており、クラブワールドカップでの活躍が再評価されて、2017年は日本代表での柴崎岳選手のプレーが見れることを期待したいと思います。
さて、次に柴崎岳選手の魅力や性格などについてお話ししたいと思います。
柴崎岳の魅力
360度の視野
柴崎岳選手の特徴は、360度ちかい視野で周りが良く見えていることです。
あたかも試合を上空から見ていて全選手のポジションを把握しているような感じです。
いわゆる鳥の目を持つ選手ですね。
冷静な状況判断
柴崎岳選手は、パスを出す、ドリブルをする、シュートをするなど様々な選択肢の中から、一番良いものを冷静かつ瞬時に判断する能力に優れています。
その良い例がJリーグの横浜F.マリノス戦の得点シーンです。
相手チームのクリアボールを拾ったとき柴崎岳選手は、最初シュートを打つこと考えていました。
寄せてくる相手選手の距離とスピードを考えてパスに変更。
かつ味方の野沢選手が動き出すのを待ってパス。
しかも芝の状態を考えてゴロではパスが通らないと判断。
そして相手ディフェンダーの位置を確認した後、カーブの浮き球で野沢選手にドンピシャのコースとタイミングでパスを出し、野沢選手のゴールをアシストしました。
これら一連のことを一瞬で冷静に判断できるのは凄いと思います。
ハードワーク
柴崎岳選手は、試合中に前の選手を追い越していく動きを頻繁にします。
その例が日本代表で初得点をしたベネゼエラ戦です。
柴崎岳選手は、自陣ゴール前から60mを全力で走り、前の選手を追い越してゴールを決めています。
前の選手を追い越していくような長い距離を走るハードワークをする理由として、味方を助けたりあるいは数的有利を作っていくためと柴崎岳選手は語っています。
このようなハードワークができる体力を培ったのが、青森での練習でした。
中高での練習は足の股関節が埋まるような雪の中で走っていたそうです。
楽な走りやすい固まった雪の上を走っている選手がほとんどでしたが、柴崎岳選手は敢えて新雪の上を走ったそうです。
人の足跡をたどらず自分で道をつくることが好きだったそうです。
このような自分を追い込む日々の練習があったからこそ、現在の柴崎岳選手のハードワークを可能にしているわけですね。
正確な技術
柴崎岳選手は、基本的な技術が高いと思います。
ボールを狙ったところに正確に蹴るキックの精度、自分の意図したところにボールを正確にとめてコントロールすることができます。
柴崎岳選手が長距離の決定的な縦パスを出せるのも正確な技術があって成せることですね。
ボディバランス
柴崎岳選手は非常にボディバランスがいいです。
この特質を活かして相手の重心の逆を取ることがうまい選手です。
これがもっともうまいのがバルセロナのイニエスタ選手ですが、柴崎岳選手も同じような強みがあるので、将来的にはイニエスタを超えるような選手を目指してほしいですね。
柴崎岳の性格は
悔しがりや
柴崎岳選手は、小学校のころからひと一倍の悔しがりでした。
小学生のときの監督である橋本さんの思い出として、監督と1対1のトレーニングを行っているときに、監督に負けると柴崎岳選手は悔し涙を流していたそうです。
橋本さんが語るに「初めて見ましたよ。普通は大人に負けても、それほど悔しくないはずなんです。それなのに、岳は違った」
それ以外にも小学5年のときに新人戦決勝で負けた時にも号泣。
小学6年では、県予選決勝で敗れてまた泣いた。
中学2年のとき、全国中学校サッカー大会で準決勝で敗れたが3位決定戦で勝利。
しかし表彰式で柴崎岳選手の姿が見えない。
当時の監督黒田さんは、「気付いたらいなくなっていた。スタッフで手分けして岳を探しに行ったら、スタジアムの隅っこの階段の下で、膝を抱えて泣いていた」と語っています。
柴崎岳選手は、小さいときから勝つことへの強い気持ちがあり、負けることが受け入れられなかったんでしょうね。
勝つことに全力を尽くし努力する姿勢があるからこそ、才能に溺れることなく成長してこれたと思います。
頑固
本人がアディダス フットボール@adidasFTB_jp.のインタビューで次のように答えています。
頑固というより信念があるということだと思いますね。
クール
柴崎岳選手は、サッカーに対する情熱は人一倍高いが、一見するとクールに見えます。
「冷静と言われるのは、自分のプレーを表現するのが軸にあって、感情的になることはない。
自分のやるべきことを淡々とやるということが冷静に見えるのかもしれない。」
と柴崎岳選手本人も語っています。
また、柴崎岳選手は人見知りですので、あまり話しをすることがありませんので、それもクールに見える要因かもしれませんね。
向上心
柴崎岳選手は、小学校のときはライバルと言える選手がいませんでした。
青森山田中学校に入ってからは自分よりうまい選手がいたことが嬉しかったそうです。
自分が一番という環境に安住することなく、常に超えるべき目標を求め続け、その目標を超える努力をすることで自分を高めることに喜びを感じるそうです。
これはいまでも変わらない姿勢ですので、こらからもさらに成長していくことと思います。
スペインリーグでの可能性や不安点
柴崎岳選手の海外移籍に関して、いままでにもさまざなま噂がありました。昨年夏には、スペイン2部クラブのヘタフェやラージョが、柴崎岳選手に興味があると報道されましたが、柴崎岳選手が1部でのプレーを望んだため話しは進展しなかったようです。
また、ブンデスリーガのフランクフルトなどの名前が上がったことがありました。
2017年に入ってからは、1月13日にスペインのスポーツ紙アス(電子版)が、スペインリーグ1部のラス・パルマスが柴崎岳選手の獲得を検討していると報じられました。
ラス・パルマスとの交渉は破断しましたが、一転してスペインリーグ2部のテネリフェとの移籍がまとまりました。
筆者個人的には元々ドイツのブンデスリーガのチームが良いと考えていました。
ブンデスリーガは、プレミアリーグと同じくらいフィジカルは激しいですが、ブンデスリーガはより戦術が重要視されます。
ドイツ人がルールや規則、戦術を重視する気質があり、これらは日本人と似ているところです。
ブンデスリーガの選手もチームの戦術にフィットしなくてはいけませんが、これは日本人が得意なところです。
このような背景があるので日本人が活躍しやすいのだと思います。
次に長谷部誠選手、香川真司選手、内田篤人選手(鹿島アントラーズ出身)そして海外でプレーすることなど考えられなかった時代にレギューラーに定着した奥寺康彦さんなど、過去多くの日本人が成功している実績があるので、チームやファンも日本人を受け入れる土壌があります。
最後にブンデスリーガには外国人枠がないので、柴崎岳選手にとってより試合に出場するチャンスがあります。
以上の理由からブンデスリーガのチームへの移籍を勧めていましたが、このたびスペインリーグ2部のテネリフェへの移籍が決定したとのことですので、是非スペインリーグで活躍してほしいと願っています。
柴崎岳選手としては、スペインリーグの1部チームでないことが不本意なところはあるかも知れませんが、筆者としては試合にでるチャンスが多い2部のチームが良かったと考えます。1部チームで控えになるよりは、2部チームでレギュラーに定着したほうが良いと思います。
柴崎岳選手がスペインリーグで活躍できる可能性は高いと思いますが、不安な点もあります。
柴崎岳選手の「あまりことばを多く話すのは好きではない試合で僕らはプレーで示すしかない」と語っています。
とても素晴らしい考え方と思いますが、海外でプレーする場合は、自分から話しをしないと監督や選手達に理解してもらえないことが多いので、この点は不安材料です。
海外チームに入った場合は、自分を理解してもらうために自分から積極的にコミュケーションをとる必要があるので、この点は意識して変えている必要があると考えます。
次に柴崎岳選手のフィジカル面です。この点は激しいフィジカルコンタクトがある海外でプレーするときに、不安がある部分です。
フィジカルを強くしていく努力をすると同時に、球際に強くなる、プレースピードをさらに上げる、プレスをかわすテクニックを磨くことで、柴崎岳選手の視野の広さや技術を活かしていけば、スペインリーグでも十分に通用すると考えます。
筆者のまとめ
自分がより成長するために欧州のチームでのプレーを以前より望んでいた柴崎岳選手。
2016年12月クラブワールドカップ決勝で、レアル・マドリードを相手に2得点をあげ、柴崎岳選手の評価が一気に上がりました。
柴崎岳選手の市場価値は200万ユーロ(2億5,000万円)と言われています。
2017年1月にスペインリーグ1部のラス・パルマスが柴崎岳選手の獲得する方向で動いているという報道がありました。こちらは破断しましたが、急転直下ラス・パルマスと同じカナリア諸島に本拠を置くスペインリーグ2部のテネリフェに決定しました。
スペインリーグ2部のチームですが、1部チームで控えに回るよりレギュラーに定着できる可能性の高いチームへの移籍は良かったのではと思います。
柴崎岳選手は、サッカーに対して自分の強い信念を持ち、独自の道を歩むことに拘りを持っています。
例えば、以前日本代表の遠藤保仁選手の後を引き継ぐのは柴崎岳選手。柴崎岳選手は遠藤2世だと言われたときに、遠藤選手は尊敬しているが自分とは持ち味が違うし、自分は自分なので遠藤2世とは呼ばれたくないと自分のスタイルに拘る姿勢を見せていました。
このようないい意味での頑固さは、海外チームで自分の道を切り開き成功するために重要なメンタリティだと思います。
また、柴崎岳選手は現状に満足することなく、常に向上心を持ち続け成長したいと思い、そのための努力を惜しみません。スペインリーグ2部のテネリフェできっと活躍してくれると思いますし、さらに上のチームへの移籍も開かれるのではないでしょうか。
柴崎岳選手の一皮むけた成長が日本代表の強化にも繋がります。
柴崎岳選手のスペインリーグでの成功を心から願いたいと思います。